2022年07月05日

表替の框縫い

通常の畳で表替え工事(畳表を新しく替える)は最初に畳表を畳床に縫い付ける框巻き工程から始まります。
機械縫いの現代では日本中ほぼ同じように略式の仕事をしますが、手縫いの時代は地域差がありました。当地などでは枚数を叩けば叩いたほうが上手と判断され縫製技術が酷いものでした(一日で20枚を縫うのですから上手な仕事を望む事が無理) 関西と関東で框巻き工程が違った話です。三代目が昭和10年ころ大阪は十三の伯父宅に仕事の手伝いに行った時に麻引き表の表替えで畳表を張り框巻きで裏返したら 「違う、表側から巻けば良い、東京とは違うんだ!」「麻引きだから裏から巻かなくて良いのかい?」「兄貴は楽をさせないいな!この程度の麻引きじゃ大阪では表側からで十分だ!」大阪は東京より仕事が軽いと感じたのです、がその後16年に当地に来ると更に軽いなと感じたそうです。
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2021年07月05日

大河ドラマ青天を衝け

IMG_1065.JPG  通常の畳表を使用した縁無し畳の返し縫いが済んだ時です。縁無し畳は待ち針は両サイド一本だけで仕事をしないと返し縫いの後工程が上手くいきません。 何度も書きますが通常表を使用した縁無し畳は東京の下町の仕事で、小さな関東間の畳だから出来る仕事で、日本中で作られていた縁無し畳は琉球表(七島表)でした。 大河ドラマでは渋沢家は埼玉県の豪農ですから琉球表の縁無し畳なら良いのですが通常表の縁無し畳が使用されては困ります。畳の上前の折り目が半目の個所に手紙を置かれては嫌でも目に付きますね。
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2020年10月01日

東京畳

IMG_1062.JPG  高知県産は岡山3号で四ツ板の縁無し畳を縫っています、返し縫の工程です。通常の畳表で縁無し畳を作るのは東京の下町だけでした。京間と呼ばれる関西間より関東間の五八間は畳表で4目〜5目、巾寸法が狭くなるので、これを利用して縁無し畳にする製作法は江戸時代後期に生まれたと我が家では言い伝えられています。坊主とか野郎と呼ばれる安物の七島表の縁無し畳は全国的に作られていました。我が家の2代目は京都で修業中に畳問屋の西川商店さんから東京へ行けば四つ板の縁無し畳があると聞き、兵隊検査が近いのに東京へ行き、行方が判らなくなり親戚が東京まで探しに行った話や、兵隊検査後に田舎の仕事では我慢が出来なくなり、弟達に店を譲り東京で店を開く事になる因縁の仕事です。
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2018年03月20日

一人役の差

機械で縫う時代では、畳に占める工賃の差は全国的に無いと思えます。
手縫いの時代は地域差は大きかったようで、明治時代の中頃に祖父が大阪と京都で修業をして東京に行った時に一生懸命,仕事して、やっと東京の一人役の仕事がこなせたそうで、東京は職人に楽をさせてくれないと感じたそうです。
畳の厚みも2寸仕上げなので関東包丁は大きくて長く、落としを一発で切り落とさないと艶が無い!と仕事を安く見られ、針も関西より2分は長く、逆にツケ糸は太く短いので、手さばきにも無駄をしない仕事が要求されました。頭板も厚みを削りまで喧しく言われ、職人は大変でしたが工賃は良かったようです。

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2016年08月02日

針の違い

関東と関西では、畳針の長さが違います。畳縁を縫う刺し針の長さは関東は1寸8分、関西は1寸6分が基準です。相針も関東の針が2分長く、返し針も関東は2寸4分で、太くて長い針になります。
針の長さの違いは畳の厚みが2寸仕上がりの関東と、1寸8分仕上がりの関西とでは、針の長さが違ってくる理屈です。太い針は刺し難く抜き難いので、個人的には細身の針を針屋さんに注文していたのですが廃業されて、困っています。
針もですが畳包丁の大きさも関東が長く、これも畳床の厚みと巾落としが一発落としの仕事の違いが理由でしょう。

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